中心市街地活性化でCO2削減?

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ソースがネット上に見つからないのだけれど、夜中のNHK衛星のニュース。

「郊外の大型ショッピングセンター(SC)は自動車での来客が多い。そこで、環境省が、宇都宮市郊外のショッピングセンターなどで、買い物目的の移動の移動先や交通手段を聞き取り調査。中心市街地を活性化するとどれくらい自動車の使用量が抑えられ、CO2の排出が減らせるかという解析を行う」そうだ。

この3年、郊外SCを中心とした商業開発のLCAを行ってきたので、この手の話には敏感になっている。

確かに幹線道路沿いに立地する郊外の大型SCの特徴は、広い駐車場にある。
つくば市でもこのところ、大型SCのオープンが相次いでいる。(きっかけの1つが鉄道の開業というのも皮肉だが)
しかし、この郊外への人の流れはなかなか覆すのは難しい。

まず、日本各地で中心市街地の活性化が試みられているが、うまくいっている事例は少ない。
その大きな要因となっているのが、
1)集客力のある魅力的な施設がないこと(百貨店などの撤退も相次いでいる)
2)アクセスが容易でないこと
3)中心部の人口や機能の空洞化がすすんでいること(市役所や県庁、大学などがどんどん郊外化)
4)後継者不足や売り上げの減少などで店舗が閉じた後も、そこには人が住んでいる(不動産として持ち続ける)ために流動性がないこと
などがある。

これは複雑に絡んでおり、1つ解決しても、その他が足を引っ張ることが少なくない。
1)や4)を克服し、たとえば中心市街地に魅力的な店舗がそろったとしよう。
しかし、3)が進むこのご時勢、お客は中心市街地の外にいる。だから、みんなそこへ車で行こうとすれば、当然渋滞が発生する。車を止める場所もない。つまり2)の問題が立ちはだかる。

では、中心部への道を広げ、駐車場を整備するか・・・でも、それではCO2削減にならない。
そうすると車以外の交通手段を使って、中心市街地まで来てもらえるようにするしかない。
それは、中心市街地への車の乗り入れを規制し、代替の交通機関を整備しない限り無理だろう。
そんなことが可能なのか?
ヨーロッパなどでは、中心部はトラムが走っていたりして、わりとうまくいっているように見える。
日本では、路面電車が姿を消している。ようやく、富山で日本初LRTが開通したが、ほとんどの町の交通手段はバス交通しかない。でも車を持っている人がわざわざバスに乗るだろうか?
パークアンドライドを使い、中心部へは徒歩で来てもらううという提案もなされている。しかし、そのような面倒くさいことをしてまで、いくら魅力的な店があっても中心市街地に行くだろうか?(嗜好品はともかく、日用品は無理だろう)
車の乗り入れ禁止などは、かえって郊外SCの優位性を高めることになるかもしれない。

なかなか環境省や都市再生を謳う内閣府の考えるようにはうまくいかないのだ。

ではどうすればよいか。私にも今のところよい考えはない。
実は、これは今年度の研究のネタの1つに考えている。つまり、住民は地域交通機関をどのように評価し、環境影響はどれくらいになるのか。
ということで、続きは後日。もう少し自分のなかで整理をしてからにする。