百年兵を養うは・・・

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割と知られていないが、今日は太平洋戦争が始まった日である。

1941年12月8日
空母「赤城」ほか5隻の空母を中心に構成された世界初の機動艦隊から飛び立った九七式艦上攻撃機ほか第1次攻撃隊は、ハワイオワフ島のアメリカ太平洋艦隊ほかに攻撃を仕掛けた。
世に言う真珠湾攻撃である。

これ以降、日本は破滅への道を歩んでいくわけであるが、かの連合艦隊司令長官、山本五十六は過去に駐在武官としてアメリカに滞在したことがあり、アメリカの生産力については十分に理解していた。そのために彼は最後まで開戦に反対であった。

彼はハワイ攻撃に向かう南雲中将他の将官に次のように述べたという。
「日米交渉は最終段階にある。ハワイに向けて進撃中に交渉妥結、開戦取りやめの可能性は残っている。日本は戦争をしてはならなかったのだ。妥結した場合は、十二月七日午前一時までに引き揚げを命令する。全軍即時、兵をまとめて引き返すよう厳命する」

ここで南雲中将は「出しかけた小便は止められない」という不規則発言をしたというが、それは本当かわからない。
まあ、攻撃部隊について言えば、出港時点ですでに戦いは始まっているのであり、目の前で引き返せというほうが難しいことは容易に想像できる。実際に小便発言はなかったにせよ、山本の引き返せという命令は南雲でなくても攻撃部隊の将官たちには到底理解しかねるような命令であったに違いない。少なくとも動揺は走ったはずである。
しかし、そんな部下に対し、山本は続ける。
 「古来、百年兵を養うは、一日のためという。しかし、いま、私は諸君に言いたい。」

「百年兵を養うは、ただ平和を護らんがためである。」

至言である。どこかの国の大統領に聞かせてやりたい言葉である。
そして、防衛庁を省に昇格させるとのたまうどこかの国の首相にも。
力はあっても、それを使わないにこしたことはない。
不戦こそ重要。
山本はさらに「戦を止めるのは、始めるより難しい」といっている。
泥沼のイラクや頻発するテロを考えるにつけ、この言葉にはとても重みがある。

何事もはじめるのは簡単だが、終わらせるのは難しい。公共事業もしかり。ならば、始める前に戦略的な評価(アセスメント)を入念に行うことが必要だろう。

意思決定において戦略性が乏しかった戦争の始まった日に、同じ間違いを繰り返さないためにいろいろと考えるのも重要だろう。