遥かなるクリスマス そして広島の空

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クリスマスイヴである。(ぢつはまだ夜が明けていないのだが)
メリークリスマス!!

僕がさだまさしを好きなことは、さだまさしコミュに登録していることから知っている方も多いと思う。僕とさだまさしの出会いは中学2年だから、今から17年前になる。一時期はファンクラブにも入っていたし、今でも20枚ちかくのアルバムを持っている(ipodにもさだまさしはけっこう入ってる)

ところで、さだまさしはここのところ毎年のように紅白歌合戦に出ている。
過去数年は、歌う曲は関白宣言などのよく知られた歌だった。
だから、コアなさだファンを自称する僕としては物足りなかった。もっといい歌があるのにと思っていた。

そして実は昨年の紅白はバリに行っていたので見ていない。
そんな彼が、昨年の紅白で「遥かなるクリスマス」を歌って、結構話題になったと聞いた。
歌詞は著作権の関係上、載せないけれど、検索すればすぐ見ることが出来る。
彼の歌はいくつかのテーマに分類することができるが、そのうち戦争をテーマにしたものも結構多い。「遥かなる~」は、この分類に属するといってよい。
しかし、正直僕はあまり好きな歌ではなかった。なぜかというと、この歌の歌詞は彼には似合わず本当にストレートなのだ。高度な言葉遊びの中にメッセージを込める「ことばの魔術師」たる彼にしては、あまりに見え見えのメッセージがそこにある。だから好きではなかった。
しかし、この歌が話題になったことを知ったとき、結局はここまで書き下さないと世間はわかってくれないのだとも思った。同時に言葉遊びを放棄してでも、今の日本はここまで言わないといけない状況だと彼が自覚したのだということがわかった。

そして今年の紅白は、「広島の空」
「広島の空」は、「遥かなる~」よりはストレートではない。たぶん、一回聞くと、ああ原爆の歌か、と思うだろう。でも実はそれだけではない。少しだけ変化がついている球である。
1番の歌詞に出てくるさだまさしの叔母の台詞

もう恨んでいないと彼女は言った
武器だけを憎んでも仕方がないと
むしろ悪魔を生み出す自分の心を恨むべきだから
どうかくりかえさないで くりかえさないで

単なる戦争反対ではなく・・・我々が普段の生活にも存在し、そして世界の悲しみを引き起こしている「憎しみを引き金にして悪魔を生み出す人間の心」に問いかけている。

世界ではテロという憎しみの連鎖を続いている。
実は、この歌は60年前の原爆を歌いながら、人間の本質を、そして今の時代をも歌っているのだ。

「広島の空」は1993年発表の歌(アルバム「逢ひみての」収録)。今から10年以上も前の歌が今年の紅白で流れる。みんなはこれを聞いてどう思うのだろう。少なくとも10年前という古さは感じないはずだ。

どうもトリらしい。
おそらく、昨年と今年の紅白でしか彼を知らない世間は、さだまさしの歌を説教くさいと感じてしまうだろうし、反戦歌手、反米歌手として偶像化してしまうかもしれない。当然、反発も増えるだろう。さだまさしファンの私はそんなことで彼が世間につぶされるのは見たくない。

でも、彼は歌う。歌わなきゃいけないと思っている。
つまり日本は、世界は、そこまで追い込まれているのだ。