学生レポート

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 前期の講義も終了し、期末試験とレポートの採点もようやく終了。成績を学生課に提出した。

 さて、試験の出来不出来はしょうがないとして、問題は学生レポートである。
 
 近年、個人用PCの普及に加え、PCを所有していない学生も大学の情報センターで自由にPCを使用できるようになり、レポートは基本的にWordなどのワープロソフトで作成されている。
 また、インターネットの普及により、レポートのキーワードをGoogleなどで検索すれば、レポート作成の参考となるwebサイトをいくらでも見つけることができる。
 私はwebページをレポート作成の参考にすることについては、それほど問題はないと思っている。紙の書籍は買ったり借りたりしなければならないが、webはその必要がない。また、書籍に比べて速報性もある。また、官庁のページには膨大な統計資料や報告書の類もあるし、様々な研究者が自らの論文を公開しているページもある。こうしたものを自由に使って、レポートを作成することは、とても良いことだと考える。

 もちろん、出典はきちんと示すべきである。出典のないレポートは、webページを参考にしたものであれ、書籍を参考にしたものであれ、評価は低いのが当然である。
 これに加えて、例えば、wikipediaのみでレポートを作成することは、ありえない。それは、wikipediaが多くの場合、匿名の(またはハンドル名のみの)編集人によって編集されたものであり、その内容の正しさを担保するものがないからである。したがって、wikipediaのみでレポートを作成している学生の評価は当然低い。
 しかし、これらは評価は低いものの、一応の点数を与えている。

 問題は別にある。問題は「コピーアンドペースト(コピペ)」である。
 今回、レポート採点をしていて、明らかに1つのwebページを丸々コピペして、そのまま表紙をつけて提出していたレポートが10%ほどあった(すでに元となるサイトは突き止めてあり、控えを持っている)。これは信じられない。中には、wikipediaを丸々コピペしたものや写真やフォントの色(!!)までまったく同じものがあって、あきれてしまう。
 これはレポートではない。盗作である。

 実際、この手の盗作を見破るのは簡単である。
 もちろん、盗作したサイトを堂々と参考文献に載せている場合、発見は容易である。私は参考サイトは一通り目を通す(参考文献も可能なものは見る)ので、そのサイトを見れば一目瞭然である。しかし、中には、元サイトを参考文献としてレポートに載せず、元サイトに載っている参考文献をさも参考にしたように書いてくる学生もいる。これは巧妙ではあるが、それでも発見は可能である。文章を見れば、本人が書いたものでないことはすぐわかるし、象徴的なキーワードや文章で検索をかければ、すぐに元のサイトなど見つかってしまうのだ。
 あえて言うが、「私だって検索を使うことはできる」

 学年が上になるほどこのコピペレポートが多い。多分、いままでそれで通っていたのだろう。しかし、私はそれを許すことはできない。当然、評価は0点だ。私の場合、レポートの配点は20~30点なので、レポートの点数が0点の場合、単位取得は厳しくなる。

 確かに、我々の学生の頃も、書籍の丸写しレポートはあった。しかし、ネットやPCが普及する以前には、丸写しであっても一文字一文字ワープロで打ち込んだり、レポート用紙に書いたのだ。打ち込んだり、書いたりしたのであれば、時間もかかるし少しは記憶に残る。もちろん、だから昔は丸写しでよかったというつもりはない。
 しかし、コピペはそれ以上に時間もかからないし、考えることもないし、記憶に残らない。つまり何の学習効果もない。
 
 今一度レポートの書き方について、じっくりと考えてもらいたい。

(2007年8月12日一部修正)