農林統計協会が公務員制度改革のターゲットとなっている。
確かに、官から民への流れそのものは必要だと考えるし、統計調査自体は民間でもできる。
民間には優秀な調査会社も多いし、われわれの研究では外注業者は重要な存在である。
気になるのは、昨今の統計調査の状況である。
昨年の国勢調査に見られるように、統計調査はますますしづらくなっている。
統計調査は施策決定に取り入れられる数少ない定量的なデータであるのに、だ。
その理由は、いわゆる一般市民である調査員に対して自らの個人情報を提供することに抵抗を感じる人が増えているためである。
調査員が身分的に公務員ないしは準公務員であれば、そうした抵抗はすこしは緩和されるのではないか。
実際、ある独立行政法人の研究機関では独法化以前に比べ、研究におけるアンケート調査の回収率が著しく低下していたり、民間調査機関の名前で行った訪問調査よりも自治体の名前で行った調査のほうが回答率が高かったりする。
統計の公共性を考えれば、統計調査は公共部門が責任をもって行うべきだと考える。
民間が「できる」ことは民間に任せる行政改革。
しかし、ただ「できる」というのではなくて、「よくできなくてはいけない」ものもある。
それが公共性を持つものならばなおさらである。
何も今のままがよいというわけではない。調査ももう少し効率的にできるはずだ。
ただ、何でも民間に任せることが改革であるという風潮は必ずしも正しくないと考える。
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